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2005/07/08 FRI(No.811)

八畝の棚田



 雨。
 JIROさんたち3人は今日、お昼前の便で帰京する。せっかく高知に泊まったのだから市内見物ぐらいはしてもらおうというわけで、朝6時にホテルを出発、高知城、桂浜と名所巡り。さすがに写真を志すだけあって、物見遊山ならものの30分もあれば十分なはずの高知城(天守閣は9時までクローズなのに)が1時間以上、まだお土産屋も開店準備中という朝っぱらの桂浜も1時間、みなさん、いったい何を撮っているのだろう。
 高知龍馬空港まで10時前に3人を送り届け、名残りのコーヒーをご一緒した。5日間にわたって行動を共にしたメンバーが別れ別れになる。なんだか寂しい気分だ。この3人とはしょっちゅう会っているのだけれど、5日間も一緒にいたのは初めてだし、一緒にいた時間が長かった分、別れの寂しさも格別なのだろう。
 さて、今日の午後と明日一日は単独行動。まずは、大豊町の八畝(ようね)の棚田を目指す。南国市から高速に乗り、大豊ICで降りてそこから約30分、国道439号を右折して農道に入ると、すれ違う車は一台もいなくなる。両の車輪がかろうじて路面を踏んでいるという細い山道を30分ほど登ると、眼前に屏風のような急傾斜の棚田が姿を現す。谷を挟んだ両岸がまるで映画のスクリーンのような、ほとんど垂直じゃないかというぐらい急傾斜である。谷底では流れる渓流を堰き止めて砂防工事が行われていた。砂防工事などを目にすると、景観破壊だとつい文句の一言も言ってみたくなるボクだが、ここでは素直に納得。工事をやっておかないと、すぐにでも崖崩れで埋もれてしまいそうな地形なのだ。
 谷のこちら側が八畝、対岸が怒田(ぬた)の集落。集落といっても農家は傾斜のあちこちにしがみつくように建てられている。その農家の隙間隙間に、狭い棚田が青々とした座布団を並べたように続く。
 軽自動車ではないけれど思い切って農道に乗り入れた。Uターンする場所がなければ、農家の玄関先で切り返えさせてもらおうと思ったのだ。自分の両足で登るのはためらわれるほどの急坂である。斜面の半分ほどを登ったところに、ちょうどいい空き地があった。ここなら、3、4回切り返せばなんとか後戻り可能なようだ。
 そこに駐車して歩き回っていたら、ばあさんが二人、どこからともなく出現した。話をしていたら、この空き地は町営バスの停留所なんだそうだ。おやおや、それは失礼。なんて言っている間に、当の町営バスが坂を上ってきた。バスとは名ばかり、ボクが乗っているレンタカーと同じワンボックスである。ここで切り返すかと思ったら、ばあさん二人を積んで坂をずんずん上って行った。たぷん、上のほうにも停留所があるのだろう。
 次は本山町の吉延の棚田。大豊からは30分ほど。やはり、左右の車輪がやっと道幅というような山道を辿る。しばらく行くと、眼前に広大な景色が開ける。道はまったく交通がないので、どこで車を止めても文句を言う人はいない。ワンボックスでは畦に乗り入れるというわけには行かなかったが、道の真ん中(といっても、端に寄せてもほぼ真ん中)に駐車して自由に撮影ができる。峻険な山並みが連なる四国だが、中にはこういう広大な景色もあるのだ。四国侮るべからずだな。
 午後4時、まだ昼飯も食っていない。予定では室戸岬に向かうはずなのだが、携帯の天気予報を見たら夜半から雨だという。空海が悟りを開いたという神明窟の奥から見える夜の海と空を撮影するのが目的だから、お天気が悪いのではお手上げである。片道3時間以上かけて空振りではしょうがないので、行き先を明日に予定していた井川町、下影の棚田に変更。高速を使えば1時間の道のりだ。
 ところが、その下影の棚田がなかなか見つからなかった。山道を行きつ戻りつした挙句に、とうとう音を上げて町役場へ。退庁時刻ぎりぎりに間に合って、ようやく場所を確認することができた。なんと、去年の台風で看板類が全部吹き飛んでしまい、「地元の人でも迷うぐらいなんですよ」という状態なのだそうだ。教えられた狭い脇道を決死の覚悟で下ったら、やっと目指す棚田に行き着いた。枚数わずか39枚という小さな棚田である。しかし、さすがは百選棚田、そのたたずまいは美しいという言葉が空しくなるほどだった。
 予定では室戸で車中泊のところだが、ここから徳島まではわずか70キロ、今回の旅行では四国4県のうち、3県で県庁所在地に泊まることになっているのに、徳島だけは素通りになっている。せっかくだから4県制覇だ。携帯で徳島市内のビジネスホテルを予約、午後8時到着。ホテルの窓からは阿波踊りのお囃子がうるさいぐらいに聞こえてくる。5月から毎日練習しているのだそうだ。


【使えるワザ】
 特になし。レタッチでややコントラストをかけてある。霞んだ風景がそれでしゃっきりとする。


撮影データ
カメラ

CANON EOS1D MarkII
EF 28-135mm IS USM
撮影日 05/07/08 12:54
ISO感度 100
絞り F11
シャッター 1/250
露出補正値 -1.0
WB 屋外
露光方式 絞り優先AE
測光方式 評価測光
合焦方式 スポットAF
焦点距離 85mm
(35mm換算)(111mm)
その他 手持ち撮影
レタッチソフト ちびスナ ViX

by osampodigicame001 | 2005-07-13 00:43
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