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2005/11/05 SAT(No.931)

秋色の茅場



 松之山の茅刈りボランティアに参加した。去年に続いて2度目の茅刈りだが、こういう作業は慣れるということはないもので、去年同様くったくたになった。
 お散歩ネットから参加したのは相沢くんとKhanさん、それにボクの3人。相沢くんは春の茅葺きボランティアに続いて2度目、Khanさんは初参加である。おそらく紅葉狩り渋滞と思われる関越を北上し、集合時間にわずかに遅れて松之山に着いた。今回はボクらを含めて約30名の参加である。遠くは名古屋から参加してくれた娘さんや、高校生、大学生も混じり、平均年齢が下がった分、去年よりは作業も相当はかどった。お天気も秋晴れだし、茅場の周囲は紅葉真っ盛りだし、野良で食べるお昼やおやつは美味いし、言うことなしの休日になった。
 ところで、茅葺きの「茅」というのは、地方によっていろんな材料を使うが、もっとも一般的なのが「ススキ」である。新潟・松之山でも茅刈りと言えばススキ刈りなのだ。ご承知のように、ススキというのは群落する植物だから、毎年刈り取る場所を決めておけば、刈った後の地面には日光が届くようになるのでススキの株が太るし、翌年のススキは背も高くなる。そうすると、茂っている間の地面には日の光が届きにくくなるのでススキ以外の雑草は徐々に駆逐されていくのである。このようにして、茅葺きのための茅の、ある意味で養殖場のようになった場所のことを「茅場」と呼ぶ。東京中央区の、証券取引所がある町は茅場町だが、ここも江戸時代から明治の時期までは正真正銘の茅場だったのだ。
 しかし、日本全国で、もはやそういう本物の茅場はすっかり姿を消してしまった。茅の需要がないからだ。そのため、空き地があればどこにでも生えてくる、厄介者のススキに高値がつく。辛うじて残っている茅葺き民家の一番の悩みが、そのススキの高値なのだ。屋根を全面葺き替えすると、1千万円単位で札束が消えていく。そんなお金をかけるぐらいなら、近代的な住宅に建て替えてしまえというのが、茅屋が消えていく原因なのである。
 松之山のボランティア団体「茅屋」は、消えゆく茅葺きの風景を何とか後世に残そうという意思で活動している団体である。ボランティアのタダ働きで刈った茅なら、市価よりうんと安く分けて上げられる。去年は、ボクらが刈った茅で、4軒の茅屋根が補修された。補修作業も「茅屋」のボランティアがやった。いずれも、ボクらの茅がなければ取り壊される運命にあった茅屋だ。普段、カメラより重いものを持ったことがないロートルの写真家なんぞが参加しても、さほどの役には立たないだろうけれど、茅屋のある風景の写真を撮っておまんまを食べさせてもらっているからには、この程度の恩返しはしなきゃいかんだろう。


【使えるワザ】
 初日の作業場は、松之山でもいちばん標高の高いところにある中原集落の一角である。ここは新開地で、戦後しばらくまではかなりの大規模集落だったのだが、高齢化・過疎化が急速に進み、現在ではわずか3軒だけの寂しい集落になってしまっている。
 棚田は、いったん放棄されると、まず最初に入り込むのがススキである。ススキは「養分喰い」だから、ススキに覆われてしまったら田んぼとしての再生はできなくなる。そういう元田んぼ、今ススキ群生地が、この集落にはイヤというほどあるのである。
 その一角を、去年に続いて刈った。まっとうな茅場として使えるようになるには毎年の茅刈りが数年間続けられなければならないのだが、たとえ2年目であっても、初年度の去年に比べれば格段に刈りやすくなっていた。着実に雑草が減っているからだ。
 ススキの穂は、陽光に輝いているときがもっとも美しく見える。茅刈りの途中にちょっと一服、その合間に慌しく撮った写真なので、PLフィルターを車まで取りに行く手間を惜しんだ。お陰でススキの葉がてかってしまい、せっかくの陽光に輝くススキの穂の美しさが食われてしまっている。今回の松之山は肉体労働が主目的だったので、写真にいまいち力が入らなかった。そういうときはそれなりの写真しか撮れないという見本である。(茅刈りの様子はブログ版。)


撮影データ
カメラ

OLYMPUS
Camedia C8080 WZ
撮影日 05/11/05 12:53
ISO感度 100
絞り F3.5
シャッター 1/1600
露出補正値 -2/3
WB 自動
露光方式 絞り優先AE
測光方式 評価測光
合焦方式 スポットAF
焦点距離 35.6mm
(35mm換算 140mm)
その他 手持ち撮影
レタッチソフト ちびスナ

茅刈り風景

慣れない鎌を使う。


おばちゃんも大奮闘。


やっと休憩。


お昼は地元の野菜と新米。地面に腰を下ろして食べるメシはことのほか美味い。


刈った茅を運ぶ。


乾燥させるために立てておく。


初日の面々。


割勘荘の囲炉裏を囲んで、お待ちかねの反省会。


新蕎麦の挽き立て、打ちたて、茹でたての美味さ、極上です。


by osampodigicame001 | 2005-11-07 01:12
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