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2005/11/20 SUN(No.946)

行き止まり



 越谷では今、大規模な住宅地開発が進んでいる。銘打って「レイクタウン構想」というこのプロジェクトは、元荒川と中川の治水のための遊水地と、その周辺部の都市開発を組み合わせたもので、遊水地は上野・不忍池の3倍、住宅地は戸数にして7,000戸(人口22,500人を想定)、JR武蔵野線の新駅、オフィス地区などの複合開発となる。総面積225ha(東京ドーム50個に相当)という広大な田んぼが潰され、現在、平成19年の街開きに向けて急ピッチの地盤工事が進められている。
 この計画については、計画の初期段階、用地買収が進められていたバブル期、その後の計画縮小、工事着工と、過去、さまざまな段階で反対の声が上がり、現在も係争中の裁判があるなど、必ずしも諸手を挙げて賛成されているわけではないが、とにもかくにも工事が始まっちゃってすでに4年経過した。かつての田んぼの面影はもはやどこにも残っていない。
 その用地造成中の写真を、記録として残しておきたいと常々考えていたのだが、なんせ、元々は田んぼであるから、用地全体を俯瞰できるところがどこにもない。高い建物がないのである。市なり県なりに頼み込んで、工事中の敷地内に入れてもらったとしても、自分の目線の高さから見た景色では全体像はとてもじゃないが捉えられそうにない。
 で、いろいろと画策していたところ、隣接の流通団地の中にある某スーパーの流通センターが、3階の窓を使わせてくれることになった。3階といっても実質的な高さは4階相当だから、うまくすれば俯瞰できる可能性がある。
 業務が忙しいときは無理ということだったので、日曜日の今日、ベルトコンベアの隙間に潜りこんで写真を撮ってきた。レイクタウン用地からはちょっと離れているし、画角に電線がかかるなど、若干の不都合はあったけれど、曲がりなりにも俯瞰写真と言えるようなものがゲットできた。ゲットできたはいいけれど、かつてここはボクが大好きな田んぼ地帯であった。あまりにも無残な変わり果て様に、胸が痛くなってしまったわい。


【使えるワザ】
 右端に桜の木が見えているが、そこが八条用水の土手で、その先がレイクタウン用地になる。左に見えている高架はJR武蔵野線である。この道は、昔は狭い農道だったが、レイクタウンの工事着工に合わせて幅が広げられた。しかし、ご覧のとおりの行き止まりなので、車は一台も入ってこない。朝夕は近所の高校の通学路、昼間は用水沿いを散歩する暇人がときおり通るだけである。今自転車が通っている道も、左右ともに車止めでガードされていて車両通行禁止になっている。なんせ、周囲にはなんもないところなので、夜は真っ暗、とても一人で歩こうなんて気にはならない。ましてや、八条用水は不法投棄ゴミの捨て場になっている。タイヤやらテレビやら、豚の死体やらが投げ捨てられていて、昼間でも薄気味悪いのである。
 さて、なんでこういう写真や、レイクタウンの俯瞰写真を撮っているのかであるが、例の「昭和の越谷写真展」の企画を推進してみて、人に感動を与える写真は必ずしも芸術写真だけではないということを痛感したからなのだ。何気ない街角の風景や、街の変遷を記録しておくこと、それも重要な写真家の仕事ではないかと気づいた次第。どうせ、ほとんど毎日お散歩には出るわけだし、間違いなくカメラを持ってのお散歩であるわけだから、芸術家然として目をぎらぎらさせているだけが能じゃなかろう。たまには、肩の力を抜いて、こういう記録写真を写してみるのも楽しかろうじゃないか。と、まあ、そういう心境の変化があったというわけなのだ。


撮影データ
カメラ

OLYMPUS Camedia C8080 WZ
撮影日 05/11/20 12:10
ISO感度 50
絞り F4.0
シャッター 1/1000
露出補正値 -1/3
WB 自動
露光方式 絞り優先AE
測光方式 評価測光
合焦方式 自動追尾AF
焦点距離 7.1mm
(35mm換算 28mm)
その他 手持ち撮影
レタッチソフト ちびスナ

by osampodigicame001 | 2005-11-20 21:48
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